映画監督 五十嵐匠さん
「道徳なき経済は犯罪」映画化で再注目・二宮金次郎
映画化で再び注目が集まる小田原出身の偉人「二宮金次郎」を特集。焚き木を背負って本を読む勤勉なイメージが先行する二宮金次郎。しかしその実像は、全国600以上の荒廃した農村・藩の農業・財政改革、復興に尽力した日本初の経営コンサルタントでもあった。「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」。SDGsの本質を捉え、再建請負人として「報徳仕法」を実行。フィールドワーク、データを重視した公明正大な改革。なぜ多くの農村や家を復興させることができたのか。なぜ農民たちは彼の指示に従ったのか。二宮金次郎のリーダーシップに迫る。

経済という言葉を非常に重視した二宮金次郎さん。とても興味があるのですが、この方は日本の農村が苦しんでいた時に600の村が彼によって立て直されたということです。なぜそんなことを成し遂げることができたのか疑問でした。これかなと思ったのが姿勢という言葉でした。真心を持って人に接することにより気持ちが伝わっていく。ここが原点なのかなと思いました。様々な労働や厳しい事を農民にお願いしていくわけです。でも上から言っただけでは人は動かないんですね。まず自分が動いて見せて汗を流し、こういう風にすれば成功するんだという成功事例を見せる。そして農民にそれをやってもらって、うまくいけば褒めてあげる。ちゃんとご褒美もあげるという、厳しさとご褒美を一緒に兼ね備えて提供したことはバランスのとれた人だったなと思いました。そういうリーダーシップというのは今の時代に置き換えてもまったく遜色はありません。むしろ今の日本経済にはこれだけの要素を兼ね備えたリーダーはいなくなっているのかもしれません。今こそ二宮金次郎さんという方を勉強し直して、日本経済にリーダーシップを復活させたいなと感じました。この二宮金次郎さんという方を映画化したということで小田原の市民の方、そして小田原の経済界の方達もみんな巻き込み、この思想と人物を世界に向けて発信したいという思いで実現したわけです。こういう思いというものが小田原に根付いている。二宮金次郎さんのような偉人を地域に持つことは非常に価値のあることなだと思いました。これをきっかけに経済をもっと回していこうという、小田原の人たちの思いも感じさせる映画だと思いました。